## シーン:廃墟都市の日常
**場所/空間:** 未来都市の廃墟にある朽ち果てたビルの一室。コンクリートの壁はひび割れ、所々鉄骨がむき出しになっている。天井からは雨漏りの跡が黒く広がり、床には金属片やガラスの破片が散乱している。
**時間:** 朝。薄明かりが窓から差し込み、埃が光の筋となって舞っている。
**登場人物:**
* 伊織(19歳):アンドロイド整備士。無口で感情表現は乏しいが、その瞳はどこか寂しげで、同時に強い意志を秘めている。作業着は油汚れが目立つが、手入れの行き届いた工具は彼の几帳面さを物語っている。
**(シーン開始)**
窓から差し込む薄明かりの中、伊織は解体されたアンドロイドのパーツに囲まれ、黙々と作業に打ち込んでいる。彼の巧みな指先は、まるで繊細な手術を行う外科医のように、壊れた回路を丁寧に繋ぎ合わせ、摩耗した部品を新しいものに交換していく。
錆びついた金属音だけが静寂に響き渡る中、伊織はアンドロイドの頭部を手に取る。それは、かつて人間と見紛うほどの美しさを持っていたであろう、女性型アンドロイドのものだった。だが今は、セラミック製の肌はひび割れ、輝きを失った青い瞳は虚ろに開かれたまま、物言わぬ人形と化している。
伊織は、その冷たい頬にそっと指先を触れ、微かに残る温度を感じ取る。彼の脳裏に、幼い頃、廃材置き場で出会ったアンドロイドの姿がフラッシュバックする。
**(回想シーン)**
薄暗い廃材置き場。幼い伊織は、スクラップの山の中で、一体のアンドロイドを見つける。それは、事故で亡くなった両親の形見のように、彼にとってかけがえのない存在となる。
**(回想シーン終了)**
伊織は、静かに息を吐き出し、アンドロイドの頭部を作業台に戻す。彼の表情は、過去の記憶に囚われているのか、それとも目の前の仕事に集中しているのか、判別がつかない。
再び作業に没頭しようとした瞬間、伊織の耳に、微かな金属音が届く。それは、廃墟の奥から聞こえてくる、ゆっくりと、しかし確実に近づいてくる足音だった。
伊織は、工具を置き、音のする方へゆっくりと歩み寄る。彼の鋭い視線は、暗闇の奥に潜む、未知の何かに向けられていた。
**(シーン終了)**