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田中鉄雄、二十歳。口癖は「だりぃ」で、部屋着のジャージは常にヨレヨレ。コンビニの深夜バイトとゲーム三昧の日々に、歴史のロマンもへったくれもあったもんじゃない、というのが本音だった。代々続く刀鍛冶の家系とやらも、今は昔。曾祖父の代には廃業したと聞いていたし、鉄雄自身も刀どころか包丁すらまともに握ったことがない。唯一の自慢は、フリーマーケットで掘り出し物を見つける才能くらい。部屋の片隅には、そんな彼が「なんかかっこよかったから」という理由で衝動買いした古い鏡が、埃をかぶって放置されていた。歴史の重みも知らずに。この鏡が、やがて彼の人生を大きく揺るがすことになるなど、夢にも思っていなかった。
ある夜、いつものようにコンビニでバイトを終えた鉄雄は、アパートの部屋に戻ると、なぜか見慣れたはずの部屋の様子が違っていることに気づく。部屋中に不気味な静寂が漂い、窓の外には見たこともない風景が広がっていたのだ。混乱する鉄雄の前に、古い鏡から姿を現したのは、端正な顔立ちと洗練された物腰を持つ男、ユン・ジェハだった。彼は自らを戦国時代の武将と名乗り、鉄雄を「鏡の力を操る者」と呼ぶ。訳も分からず鏡の世界に引きずり込まれた鉄雄は、そこでジェハの野望を知ることになる。天下統一を目指すジェハにとって、鉄雄の持つ鏡は、歴史を改変し、自らの理想を実現するための重要な鍵を握っていたのだ。
ジェハに協力することを半ば強要された鉄雄は、慣れない戦国時代の生活に戸惑いながらも、持ち前の楽観的な性格と、フリーマーケットで培ったガラクタ知識を駆使して、持ち前の「だりぃ」を連発しながらも、次第に周囲の人々から信頼を得ていく。しかし、そんな矢先、ジェハの真の目的が、天下統一の先に隠された、より邪悪な野望であることを知る。それは、鏡の力を利用して時空を操り、永遠の命を手に入れるという、禁断の計画だった。
一方、戦国時代では、高貴な生まれと冷徹なまでの知性を持つ公卿、九条頼綱が、ひそかに暗躍していた。代々続く名門貴族、九条家の当主として、幼い頃から政の世界に身を置いてきた頼綱は、ジェハの行動を警戒し、その野望を阻止しようと、密かに策を巡らせていたのだ。彼は、ジェハの傍らにいる鉄雄の存在に気づき、彼を利用してジェハを操ろうと画策する。
ジェハの野望と頼綱の陰謀が渦巻く戦国時代で、鉄雄は否応なく歴史の渦に巻き込まれていく。刀鍛冶の末裔としての自覚も、歴史を変える覚悟もない。ただ、現代に帰りたい一心で、右往左往する鉄雄の姿は、周囲の人々の心を和ませ、彼らの人生に少しずつ影響を与えていく。そして、鉄雄自身もまた、戦乱の世を生きる人々の生き様や、ジェハや頼綱の抱える闇に触れる中で、自身の未熟さや、本当に大切なものに気づき始める。
やがて、ジェハと頼綱の対立は、歴史を揺るがす大きな戦へと発展していく。その戦火の中、鉄雄はついに、鏡に秘められた真の力と、自らの運命を知ることになる。それは、刀鍛冶の家系に生まれた者だけが背負う、残酷な宿命だった。歴史の改変か、それとも……。戦の行方は、そして鉄雄の選ぶ未来とは。
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